20220604-たくさん歩いた
恋人に恋人として会ってから1年が経ったらしい。執念深いというよりは記憶力の問題で、ひとの誕生日のことを覚えている。去年の今日、恋人だった人の誕生日を祝い、その後いちども会わぬまま別れた。
これは執念と言われても致し方ないけれど、せっかくなので去年と全く同じ服装をすることにした。ちょうど今日は後輩の演奏会に行くから、元恋人の目に触れるかもしれないことはわかっていた。はたから見たら随分と未練がましいのかもしれないが、そういうつもりはない。ただの悪戯心だ。
今日は早起きをする。はちみつバタートーストとココアを作って食べる。身支度を整えて家を出る。
朝からオーケストラの練習に参加する。弾けるようになっている曲の練習は楽しい。惨めな気持ちにならない。大学オケの友人も誘ったので賑やかになる。
練習の後、新宿三丁目の伊勢丹でプレゼントを買う。演奏会で差し入れをもらうと気分が高揚したものだが、差し入れをする方も楽しいのだとわかった。
後輩の演奏を聴く。自分が失ったもの、彼らが持っているもののことを考える。また、自分や彼らが奪われたもののことを考える。パンデミックは我々から経験も伝統も奪っていった。それが良いように作用すればいいなと思う。
演奏会の後で後輩たちと立ち話をする。ずっと年下と思っていた彼らがもう一番上の学年になっていて、時の流れがおそろしい。後輩は可愛いものだなと思う。等しく愛おしい。社会人オケで大人の人たちが若い人たちを可愛がる気持ちがわかった。
たくさんおしゃべりをして気づけば一緒に来ていた人たちが居なくなっていた。一人で駅まで歩く。最寄り駅で天ぷらそばを食べる。
薬局で少し買い物をして帰宅する。たくさん歩いて疲れた。